こちらはダミー記事となります。
写真と内容は筆者のかしきり体験を元にしたフィクションであり、実在のサービスではありませんのでご了承ください。
かしきり.comの立ち上げが一段落し、久しぶりのまとまった休日が取れたのはジメジメとした梅雨時期。
梅雨のない北海道に向かうか?
それとも、すでに梅雨明けが宣言された沖縄へ向かうか?
梅雨の定番ともいえる旅を考えていたところで目に飛び込んできたのは、水辺を舞う蛍の写真でした。
思えば写真や映像では見たことがあるものの、実際にこの目で蛍の舞う光景を見た記憶がないことに気付きます。
定番の観光地は人気も高く、多くの観光客が訪れているようですが、「吸い込まれそうな静寂の中、幻想的に光る蛍を見たみたい!」というのが本音。
ふと、以前お世話になった温泉宿で「今度は蛍の季節にもいらしてくださいね」と女将が言っていたのを思いだし、電話してみることに。
すると、休みが取れた日程はまさに蛍のシーズン。期間限定でご主人が蛍のガイドツアーをされていらっしゃるとのことで、迷わず予約を入れました。
宿に着くと、さっそく女将から「今日みたいな日は、絶好の蛍日和ですよ」との言葉に期待が高まります。
まずは露天風呂を満喫し、季節の鮎を堪能しつつも、頭の中は蛍のことでいっぱい。
これほど陽が暮れるのを待ち遠しく思ったことはないかもしれません。
「そろそろいい時間ですよ」と、ご主人から声が掛かったのは日没後小一時間してから。
「ボクは刺され慣れてるんで大丈夫ですが、ブヨもいますので…」とお気遣いいただきましたが、できれば蛍にすぐ近くまで近寄ってきて欲しいと思い、虫除けなどは使わず長袖長ズボンの対策のみで向かうことに。
人によってはかなり腫れたり、場合によっては皮膚科に掛かるほどになってしまうこともあるので、虫除けやハッカ油などを塗られたほうがいいそうです。
虫除けは殺虫剤ではないので、現地で大量に吹きつけるようなことをしなければ、蛍への影響もほとんどないとのこと。
他にもワサビ田と清流の話などを聞きながら15分ほど林道を歩くと、少し開けた場所に到着し…言葉を失います。
ここまでの道中でも数匹の蛍の姿を目にしており、「おぉ、いるなぁ。もっとゆっくり見たいのに」と思っていたのですが。
はい、浅はかでした。
ふと視線を上げると真っ暗闇に浮かぶ蛍火、蛍火、蛍火…。
その1つ1つが呼び合うように瞬き、それに誘われてまた別の瞬きが呼び寄せられてきます。
「歩くのに足下照らしちゃってたんで、懐中電灯を消してしばらく待ってくださいね」
えっ、まだなにかあるんですか?
「ふふふ、もっとすごいですよ」
浅はかと思っていた自分すら浅はかでした。
到着してすぐの光景すら霞むほどの絶景――もし写真で見たら「画像いじってますよね、合成でしょ?」と言ってしまうに違いない、この世の物とは思えぬ幻想的な空間が浮かび上がってきたのです。
しばし時間を忘れ静寂の中に身を置いていると、ふと近くに寄ってきた1匹の蛍。
ここに来る前は「腕にでも止まってくれないかな?」と思っていましたが、いまは「これは触ってはいけない、キミも不用意に人間に近付いちゃダメだぞ」という気持ちに変わっていました。
帰り道に、そんな心の変化をご主人に打ち明けると…。
「ありがとうございます。これでもボクが子供の頃と比べると、かなり数が減ってしまったんですよ。あの頃の光景を取りもどすためにも地元でルールを決めて、蛍たちを驚かせないような方法を取りながら楽しんでいただけるよう、こういった少人数のガイドでご案内しているんです」
実はこの時、撮影機材も持ち込んでいました。
事前にレンズやカメラ設定、光を一切漏らさずに撮るコツなども予習したのですが、記録した陳腐な映像と自分の目で見た絶景との差に落胆し、お蔵入り決定。
ふとした思いつきから始まった蛍の旅。
写真や映像では見られない、あの静寂と闇夜を貸し切っての絶景。
文字だけで想像してもらえばいい!
体験した人だけの宝物にしたっていいじゃないか!
と、ブヨに刺されて腫れあがった足を冷やしながら、開き直っている次第です。
今回、自分が見たのはゲンジホタルで6月が最盛期。7月はヘイケホタルの最盛期になるそうなので、ぜひ貸し切りのガイド付きで楽しまれることをおすすめします。
月明かりのない闇夜。雨後の蒸しっとした風のない夜によく光るそうですが、こればかりは時の運…。
皆さまが蛍たちに出会えることを願っています。
取材協力:清流の郷 蛍園
静岡県ダミー市ダミー町123-45
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※蛍ツアーのご予約は事前にお電話にて承ります。天候条件などによりツアーを中止する場合がありますので、ご了承ください。
ライター:Soichi